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医療再生 日本とアメリカの現場から (集英社新書) | 大木 隆生 |本 | 通販 | Amazon

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第5章 日本医療の未来像

医療にインセンティブ制度はそぐわない

 大木医師は、日本医療を活性化するために何をするかを問います。その中で、厚生労働省の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医協)が、導入を提案した「ドクターズフィー」を問題視します。ドクターズフィーというのは、医療報酬を病院のような医療機関に払うのではなく、医者個人に直接はらう制度のことです。もしこれが日本で導入されてしまうと、手術の腕前が保証されていない医師がフィーを得るために、患者に手術をすすめるという事態が起きかねないというのです。


 基本的に医師は、プロフェッショナルたちですが、お金のために地位を悪用する人がいるかもしれないと言うのです。最悪を想定することは定石ですから。そして大切なこととして挙げるのは、多くの外科医が週休1日で働いている、現在の労働環境を改善することとします。

デバイス・ラグ問題

 欧米では一般化した医療機器が日本では国の承認がないために保険診療で使えないことを、「デバイス・ラグ」と言います。薬の場合、「ドラッグ・ラグ」と言います。誰もが最先端の医療技術を知らない時には、あまり問題は起きませんが、インターネットで知ることができる今日ではそうも言えません。

 というのも、欧米の会社にとって日本の医療機器市場の参入障壁があまりに高いからなのです。日本は医療品と医療機器市場の大きさはアメリカに次ぐ、世界2位の規模であるにも関わらず、薬事法(執筆当時)の定めるハードルがあまりにも高いのです。厚生労働省は「画期性加算、有用性加算」「迅速申請加算」といったインセンティブを欧米メーカーも参入しやすいように設けましたが、無力だったと言うのです。

医療機器国 & 手術器具の改良

 日米で同時に協力して治験を行う「日米共同治験」で承認を迅速化させる取り組みも行われています。日本は海外で製品をブラッシュアップして製造する力がとても高いので、医療機器を製造する技術立国として十分成り立つのではないかと大木医師は指摘します。

 「完成された手術や医療器具は存在しない」。すべての手術と器具は改善・開発の余地があるはずです。新薬をつくるのは基礎研究をしている研究者や科学者ですが、医療器具の改良は現場で実際に使っている人が行うことです。こうした考えに基づいて、大木医師は、代表的なもので8件の医療器具の改良例を持っています。

医療の究極の目的とは

 大木医師は、医療の究極の目的は「苦しみと憂いを取り除くこと」と言います。大木医師は、手術の件数や死亡率で医師や病院がランク付けされることが流行していますが、大木医師の扱う手術例は他の病院で「手術不能」と言われた案件ばかり。あまりそのランキングは信頼できるものとは言えない恐れがあるのです。大木医師は、慈恵医大病院の血管外科で毎年およそ600件の手術を担当し、その半分の300件が大動脈瘤の手術となっているそうで、手術不能と他病院で言われた人たちばかりです。その手術を行い、死亡率は2%程度に留められているそう。

大木医師は、日に2件ほどの手術と診察、教授としての仕事、研究で身体は悲鳴をあげています。体調を崩し4回入院したこともあり、医者に長期休養をすすめられても「苦しみと憂いを取り除く」ために、メスを握り続けているのです。

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