NEWS

まずは、下の表の右端にある『アルコール体質の特徴』を見て、自分がA~Eのどのタイプに当てはまりそうか、考えてみてほしい。
遺伝子タイプ別~アルコール体質の特徴~

遺伝子タイプ別~アルコール体質の特徴~

独立法人国立病院機構久里浜医療センター監修。
同センターは昭和38年に日本で初めてアルコール依存症専門病棟を設立。現在では4ヶ病棟でアルコール依存症の治療を行っており、平成元年にはWHO(世界保健機関)から日本で唯一のアルコール関連問題の施設として指定されている。

ちなみに「アルコール分解酵素(ADH1B)」は、体内にアルコールが入ってくると「アセトアルデヒド」というアルデヒドの一種に分解(代謝)する有機化合物。

「アセトアルデヒド」は極めて強い毒性を持ち、顔面の紅潮、頭痛、吐き気、動悸などの不快な症状を引き起こす、悪酔い・二日酔いの原因物質とされている。

こうした症状が出ないよう「アセトアルデヒド」をさらに分解するのが、肝細胞の中に存在する「アルデヒド脱水素酵素(ALDH2;アルデヒド分解酵素)」という関係性だ。
たぶん「自分は絶対このタイプだ!」と確信が持てる人はいないはずだ。

それどころかーー

「えっ、お酒に強いのに抜けにくいタイプ(A)なんてあるの? しかも“アルコール中毒に最もなりやすい”って、アル中ってお酒に弱い人がなるんじゃないの?」

「顔に出にくいって点では自分はCだけど、なのにお酒に弱いってアリなの? もしコレだったらがんにもなりやすいって書いてあるし、マズいかも…」

「自分は顔も赤くなるし、お酒には弱い(D)って自覚してるけど、“健康問題が起こりやすいので控えめに!”ってどういうこと? もしかしたら飲めないタイプ(E)の可能性もあるし、本当は飲まない方がいいわけ?」

などなど、多くの疑問が浮かぶとともに、「自分はどのタイプなのか知りたい!」と感じたのではないだろうか。

その疑問に答えるベンチャーが4月に本格活動開始

前出の表タイトルが“遺伝子別~アルコール体質のタイプ~”となっているのを見て気づいた人も多いだろうが、A~Eのタイプを決定づけるのは遺伝子だ。

つまり、自分のタイプを知るには、遺伝子検査を受ければいい。

その“アルコール体質の遺伝子解析事業”を収益の柱とするベンチャーが、兵庫県西宮市にある武庫川女子大発の「合同会社武庫川ライフサイエンス研究所」。
昨年夏に立ち上げ、準備を進めてきたが、4月から本格的な活動を開始するという。

独自技術+大学の設備を活用し、大学生なら500円~の検査価格を実現

遺伝子検査に用いるのは、同大学・薬学部ゲノム機能解析学の木下健司教授が開発した遺伝子解析技術。

従来の遺伝子検査では生体サンプルからDNA(遺伝子の本体)を抽出・生成する作業を行うのに対し、木下教授の方法では毛根や唾液、血液などの生体サンプルを直接、反応液に入れる。

従ってDNAの抽出・生成という過程がカットされ、下記のように時間とコストを大幅削減できたという。

【検査時間】従来の方法は結果がわかるまで約2日→3~4時間
【検査コスト】従来の方法は概ね5000円ほど→約10分の1=500円程度を実現
開発した遺伝子解析キットと使用手順

開発した遺伝子解析キットと使用手順

スワブ(右端の綿棒)で頬の内側をこすり、口腔粘膜細胞を採取
 ↓
それをサンプリングシートのプレートに押しあて、シートを2つ折りして30分以上乾かす
 ↓
添付の封筒でシートを回収
実は、この遺伝子解析方法を木下教授が確立したのは2010年2月と、7年ほど前になる。
以来、アルコール体質遺伝子を解析し、お酒とのつきあい方を知ってもらう講義を各地で実施。年間5000人前後の検査を実費で行ってきたが、研究成果の社会還元をさらに強め、もっと幅広い人にアルコール体質遺伝子を解析する機会を持ってもらいたいとの思いから、今回のベンチャー立ち上げに至ったとのこと。

新企業では、木下教授による独自解析技術と、武庫川女子大の設備を活用することによって、他社の同じようなサービスより安い価格で遺伝子解析を提供。
具体的には、大学生は1人500~800円、企業の社員などの場合には1500~2000円で請け負う。

来年4月には遺伝子解析キット(5000円前後)の販売も視野

当面は、全国の薬系大学新入生や酒造メーカー社員などへと検査対象者を拡大。初年度で年間1万人、将来的には年間10万人規模の事業に発展させたいというのが、同ベンチャーの目標。

さらに、一般向けとして医薬品卸を介して薬局店舗で遺伝子解析キットを販売することも計画しており、2018年4月のスタートに向け、準備を進めているとのこと。こちらの店頭価格は5000円前後になる予定だ。

厚労省は全国民のアルコール体質検査導入を考えてもいいのでは?

折しも4月は、大学に新入生が入学し、歓迎会などでの未成年者飲酒やイッキ飲みによる急性アルコール中毒などが問題となりやすい時候だ。

大学発ベンチャーによる啓蒙的事業がスタートするのにふさわしく、また、すでに成人している社会人にとっても、いわゆる“お酒のつきあい”の場でパワハラめいた飲酒強制などを受けない・起こさせないという観点から、「アルコール体質」という個人差のあるものが存在し、それは遺伝子によって決定されること、そして自分のアルコール体質がどんなものかを知っているということは、非常に有用だと思われる。

また、日本人がかかりやすい食道がんの一種「扁平上皮がん」は、アルコールが罹患リスクを高めるとされており、それ以外のがんに関しても、国立がん研究センターが約73000人を対象とした研究調査で、お酒を飲まない人に比べ、1日1合~2合飲む人は2.6倍、2合以上飲む人は4.6倍、がんにかかるリスクが高いとの結果が出ている。(http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/269.html)

国の医療費増大が危機的状況だと叫ばれ、日本人の死亡原因の1位ががんで、全死亡原因の30パーセントを占めている現状を考えるに、予防医療として国民全員に何らかの形で、アルコール体質の遺伝子解析を受けるシステムを導入してはどうかと思うのだが、いかがだろうか?




【引用・参照】

https://cocoyaku.jp/news/3/19712
http://www.mukogawa-u.ac.jp/~alcohol/index.html
http://www.edusys.jp/mukogawa-u/koho/topics_news_past_84.html
http://www.kurihama-med.jp/hospital/index.html

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/alcohol/ya-005.html
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/269.html
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-01-008.html
14 件