ビル・ゲイツ: もし次の疫病大流行(アウトブレイク)が来たら?私たちの準備はまだ出来ていない | TED Talk Subtitles and Transcript | TED.com

TED Talk: 2014年、世界はエボラの恐ろしい更なるアウトブレイクを免れる事が出来ました。何千人もの自らの犠牲を惜しまない医療従事者達の努力により―そして、率直に言えば単にとても幸運だったお陰で。

災害の変化

私たちが子供の頃に一番恐れていた災害といえば、核戦争でした*1。地下室には大きなバレルがあり、その中には缶詰や水が蓄えらえていました。私たちは核ミサイルが飛んできたら地下へ降りてうずくまり、バレルの食料を食べるのです。


*1=ビル・ゲイツ氏は1955年生まれ。1962年のキューバ危機の際には7歳。

ウイルスが次の大災害の引き金に

ところが、現在の最大の世界的危機は、そういったものではないのです。もし1千万人以上の人々が次の数十年でなくなるような災害があるとすれば、それは戦争よりもむしろ感染力の高いウイルスが原因になるものでしょう。ミサイルではなく、微小なものによって引き起こされるのです。

その理由の一つは、これまで私たちは核の抑制に巨額の費用を注ぎ込んできましたが、疫病の抑制システム研究開発には、何もやってきていないことです。よって私たちは感染性の強い疫病蔓延への準備ができていないと言えるのです。
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エボラ出血熱の脅威

エボラ出血熱の例を見てみましょう。みなさんもきっと新聞などで知っていることでしょう。とても厳しい危機です。私たちがポリオ撲滅の状況を追った際の状況分析ツールを使ってエボラの状況を追跡しました。

観察していて分かったことは、システムが不十分で状況に対処しきれていなかったということではなかったのです。そもそもシステム自体が存在すらしていなかったということです。

致命的な欠陥

事実、非常に明らかに重大な欠陥は、急な招集にも応じ出動できる−そして出動するべきであった疫学者のチームがなかったことです。疫病の感染拡大状況を常にモニターし分析する人々のグループです。症例のレポートは、電子化されるまでにとても手間取り紙ベースで送られてきました。

さらに悪いことに、その内容は間違いだらけだったのです。招集に応え出動する医療従事者チームもいない中で、準備やシステムを整える手立てが見つけられなかったのです。そんな状況でも、国境なき医師団は大変うまくボランティアを組織化していました、それでも何千人もの支援者を現地に送るのに無駄な時間を費やしてしまったのです。

医療従事スタッフの不足

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大規模な伝染病が起こると、何十万という支援スタッフが必要となります。現地では、治療が適切に行われているかを確認するスタッフさえいなかった上に、診断方法をチェックする人も、必要な医療キットは何かを判断する人もいなかったのです。

例えば、生存者の血液を採取し、血清を作り人々に注射し免疫をつけさせるといったことも、医療従事者のスタッフがいれば、あるいは可能だったかもしれません。しかし、それは実現されませんでした。つまり、欠陥が数多くあったのです。これらは地球規模での大失敗です。WHOには疫病モニタリングのための研究費はありますが、こうしたことを実際におこなうための資金はありません。

あらかじめ対策ができていないというだけで、次の疫病がエボラ出血熱よりも深刻な危機を生み出すかもしれないのです。今年、エボラが蔓延したときのことを整理してみましょう。患者およそ1万人のうちのほぼ全員が西アフリカの3カ国の住民だったのです。

疫病の拡大をとめられた三つの理由

この疫病がさらに拡大しなかった理由は、三つあり、一つ目はヘルスワーカーによる英雄的な働きです。エボラの患者を発見し、感染が拡大するのを防ぎました。二つ目は、ウイルス自体の性質です。エボラは空気感染しません。患者が感染源となる時点では、多くの場合病状が悪化しておりベッドから出られなくなっています。三つ目は、この感染症が都市部にあまり入り込まなかったことです。これは単なる幸運でした。もしエボラが都市部に入り込んでいたら、被害は拡大していたことでしょう。
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