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武田薬品工業株式会社とArrowhead Pharmaceuticals Inc.が、α-1アンチトリプシン欠乏症による肝疾患(AATLD)を対象とし、現在臨床第2相試験の段階にあるRNA干渉(RNAi)治療候補薬「ARO-AAT」の開発に向けた提携およびライセンス契約を締結したことを発表しました。

ARO-AATは、AATLDの進行を引き起こす変異型α-1アンチトリプシン蛋白の産生を低減する目的で設計されたファースト・イン・クラスの治療薬となる可能性があります。

今回の契約に基づき、武田薬品とArrowhead社は、ARO-AATを共同で開発するとともに、承認された場合、アメリカにおいては両社が利益を50:50で折半する形で共同で販売を行います。武田薬品は、全世界における販売戦略を主導するとともに、アメリカ外の地域でのARO-AATの独占販売権を取得します。

Arrowhead社は、3億米ドルの契約一時金を受領するとともに、開発、申請、販売マイルストンとして最大7億4000万ドルを受け取る権利を有します。この契約上の取引は、アメリカで1976年に制定された改正Hart-Scott-Rodino (HSR)反トラスト法を含む独占禁止法上の審査が完了することを条件としています。


<α-1アンチトリプシン関連肝疾患について>
α-1アンチトリプシン欠乏症(AATD)は、希少な遺伝子性疾患で、小児患者と成人患者では肝疾患、成人患者では肺疾患を伴うことがあります。

AATDの有病率は、アメリカでは3,000~5,000人に1人、ヨーロッパでは2,500人に1人とされています。αアンチトリプシン(AAT)は、主に肝細胞で合成、分泌される蛋白質です。この蛋白質は、正常な結合組織を分解する酵素を阻害する働きをもちます。AATDで最も頻繁にみられるZ型遺伝子変異は1つのアミノ酸が置換される変異で、作られた蛋白質は正しく折りたたまれることができません。

この変異蛋白質は十分に分泌されずに肝細胞にとどまり、小球を作ります。これにより肝細胞が傷つき、線維化や肝硬変が現れ、肝細胞がんのリスクが高まります。

ホモ接合型のPiZZ遺伝子型をもつ患者には、体内で機能するAATがきわめて少なく、肺疾患や肝疾患を引き起こします。肺疾患の主な治療法は、AAT強化療法です。肝疾患はAAT強化療法では効果がみられず、肝疾患を対象とする治療薬は存在しません。現在、治癒が望める治療法は肝移植しかありませんが、肝移植は合併症発現率や死亡率が高い手技であり、大きなアンメットメディカルニーズがあります。

<ARO-AATについて>

ARO-AATは、AATD患者の進行性肝疾患の原因である肝臓での変異型α-1アンチトリプシン(Z-AAT)蛋白質の産生を阻止する目的で設計されました。炎症をもたらすZ-AAT蛋白質の産生が低下することで、肝疾患の進行が阻止されると期待され、肝臓の再生や修復に至る可能性もあります。
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