実際にこの方法は使えるのか?

「siRNA」が初めに作用し、数時間ほどでがん細胞の生存遺伝子を抑制しブロックします。我々は今や遺伝子の特殊能力を乗り越えたのです。何が残ったかというと特別な防御システムもないがん細胞です。つまりもうがん細胞は怖くないのです。がん治療の薬剤が核から出現し腫瘍細胞を手際よく効果的に破壊していくのです。このように、これからは十分な遺伝子ブロッカーがあれば、様々な種類の突然変異に対処することができ、どんな悪者も残すことなく、腫瘍を一掃できるようになるのです。

では、我々の作戦どのように働くのでしょう? 私たちはこれらのナノ構造粒子を、浸潤性が非常に高いタイプのトリプルネガティブ乳がんで動物を用いて試してみました。このトリプルネガティブ乳癌には、抗がん剤が届くと、すぐに吐き出す働きをする遺伝子があります。

多くの場合は、ドキソルビシン−「ドックス」としましょうか−これが乳がん治療の第一選択肢です。まず 私たちは動物たちをドックスだけで治療しました。腫瘍の成長する速度は遅くなりましたが、まだ急速に成長を続け二週間ほどで倍のサイズになりました。

その後、私たちが開発した武器をドックスと組み合わせて試しました。siRNAを含むナノ層の粒子を用いる、腫瘍が成長を止めただけでなく、サイズが縮小したのです。さらに、いくつかのケースでは除去されました。腫瘍は本当に消失したのです。
このアプローチの素晴しさは、個別化が出来るところにあります。様々な突然変異や腫瘍の防御メカニズムに対処するため 沢山の異なるsiRNAの層を足していくことが可能です。さらに幸運なことに、違う種類の薬剤をナノ粒子の核に入れることも可能です。医師が癌の検査の仕方を学び、腫瘍の遺伝子型を理解するにつれて、この戦略が効果的な患者や利用できる遺伝子ブロッカーについて多くのことが分かってくるでしょう。(2ページに続く)

卵巣がんへの特別な思い

卵巣がんには特別な思いがあります。これはとても浸潤性の高い癌です。理由の一つは非常に進行した段階で発見されるからでもあります。卵巣がんがかなり進行した時は、遺伝的な突然変異があります。抗がん剤治療の1クール目の後、卵巣がんは75%の確率で再発し、通常、再発した時には薬剤耐性が付いているのです。悪性度の高い卵巣がんは、最もたちの悪い 超悪玉の一つなのです。いま、私たちは開発した手法で立ち向かっています。
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終わりに

一人の研究者として、通常、患者に接することはあまりないのですが、最近、卵巣がんのサバイバーのとある女性に出会いました。ミミです。娘さんはペイジといいました。私は母と娘の双方が見せた楽観主義と強さに彼女達の勇気と支え合う物語に、強く心を打たれました。このイベントでは癌治療の為の、様々なテクノロジーについてのお話をしました。ミミはこうした治療法の存在を知ったおかげで、いかに彼女の娘を含む未来の世代への希望をもつことが出来たかということを、涙ながらに語ってくれました。これには本当に感動しました。この研究は高尚な科学を作り上げていくだけではないのです。人々の人生を変えることなのです。分子規模での工学の力を理解することなのです。

ペイジのような学生がキャリアを積み卵巣癌や、神経疾患、感染症のような世界の大きな健康問題に取り組み、新たな可能性が開いていくのです。化学工学がまさに、私に道を開き、最も小さな分子規模の方法を用いて、人間規模で治療する方法を開発させてくれたように。

ありがとうございました。
Translated by Mai Ohta
Reviewed by Eriko T.
*記事構成の観点から、一部表現などを変更しました。
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