治療ってなに?

 医療において、これまで見てきたように「予防」や「診断」は大事であるとはいえ、やはり治療こそが最も重要であると言える。生物であれば、すり傷をつくってしまっても自然に傷がふさがる。これは自然治癒と呼ばれる。どんな病気や怪我であっても、自然治癒で対処できる場合、治療は必ずしも必要ではない。しかし、もし自然治癒の枠を出てしまった場合、治療が必要となる。

治療には大きく2つあると言われている。その一つが、「自然治癒のサポートをするもの」で、もう一つは「怪我や病気を技術的にいかに治すか」というものである。前者は東洋医学によく見られる手法で、後者は西洋医学によく見られる手法であると言われている。

治療法のない病気と闘う方法とテクノロジー - PULSE

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治療法のない病気とどう戦えばいいのでしょうか?

対症療法と原因療法

 治療を具体的におこなう治療法には、「対症療法」と「原因療法」がある。

 対症療法とは、ひとつひとつの病状に応じて治療を施すことで、例えば咳が出ているから咳止め薬を処方する、熱が出ているから解熱剤を処方するといったものである。

 対して、原因療法は病気に応じて対応を決めるものである。それは例えば「咽頭炎」と診断された場合、「ペニシリン」を投与する決まりきった処置が行われるものを指す。

 現在は、原因療法が中心的に用いられる。というのも、外面的に発露した症状にその都度対処する「対症療法」では、必ず後手に回り続けるため、病が重症化する恐れがあるためである。

 原因療法は、病状(結果)に対して、その大元(原因)を潰すことで病を治すことを目的にしており、より戦略的な治療を目指すことができる。

イノベーションで診断はどう変わる? - PULSE

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医者の知識や経験に依存していた、「診断」はイノベーションでどう変わるのでしょうか?

原因療法を用いること

 原因療法を用いるということは、「診断」を行わなければならないため、精密な検査が行われる。そして、病の要素を突き止めていく中で、病が確定すれば治療法も決定するという機械的な作業が行われる。つまり、機械論的な考え方で行われている。

機械論のその先に

 機械論的な治療が行われていく中で、研究や分析も機械論的に考えられるようになってきた。その最たる例が、「ゲノム解析」であることは論をまたない。時代が進むとともに、生物から病に中心が移ってきている。そのため、「医者は病人を診ているのではなく、病気を診ているだけだ」という批判がなされてきた。なるほど確かに、病気を細分化して解析していく中で研究の中心的対象が病人から病気そのものに移ってしまっていた。

 しかし、近年、遺伝子解析や病気原因の研究が進む中で、その細分化された要素が体型的に整理され「個別治療」というものが出てきた。これは個人にあった治療が行われるものである。

【前編】ゲノム解析&医療の個人化が全世界で急進行。出遅れた日本は…? - PULSE

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【後編】ゲノム解析&医療の個人化が全世界で急進行。出遅れた日本は…? - PULSE

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医療イノベーションによって

医療のビッグデータ活用研究がスタート - PULSE

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 医療的な研究がテクノロジーに支えられ進む中で、医療はより一人ひとりに寄り添えるようになってきた。ビッグデータを用いて、一人ひとりの生活習慣や健康状態に応じて予防の手法を提案できるようになる日もそう遠くない。

今後、医療技術が向上すればするほど、人々の健康はより確かに守られていくだろう。そういえば、医療は「サイエンス」(科学)ではなく「アート」(芸術、学問)でなければならないと言われる。つまり、医療は「人間の福祉」といった本質を捨て去り、ただの技術になってはならないということである。

 医療イノベーションにより再び医療のあり方が問われている。弊PULSEでは、今後も医療イノベーションの最前線を追うだけではなく、医療とテクノロジーのあり方や未来にも大きな関心を向けていきたい。(文責:斉藤亮太)
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