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2018年12月に戦略的提携を結んだ塩野義製薬株式会社とTetra Therapeuticsが、認知機能改善薬の候補品BPN14770 の研究開発を推進していましたが、提携をより強化するため、新たな出資契約および合併契約を締結したことを発表しました。

Tetra社が創製したBPN14770は、記憶形成に関わるPhosphodiesterase 4D(PDE4D)を標的とするネガティブアロステリックモジュレーターであり、これまで開発されてきたPDE4D阻害薬で見られる嘔気等の副作用を回避しつつ、認知機能を改善することが期待されています。BPN14770は、非臨床試験において、アルツハイマー型認知症や脆弱 X 症候群の動物モデルでの認知機能障害への改善効果が確認されていて、臨床での認知機能低下を伴う様々な疾患に対する効果が期待されます。

現在、Tetra社によりアルツハイマー型認知症(Alzheimer’s Disease: AD)並びに脆弱X症候群患者を対象としたPhase II試験がアメリカで実施されていますが、ADを対象としたPhase II試験(PICASSO AD 2)は当初の予定よりも早期に患者登録が完了し、2020年3月中には結果速報が得られる見込みです。

これまでに得られている臨床および非臨床試験結果より、BPN14770はAD患者をはじめとする認知機能障害に対して高い効果を有する可能性とともに、ネガティブアロステリックモジュレーターという特徴から、これまで開発されてきたPDE4D 阻害薬に見られる嘔気等の副作用懸念が小さいと当社では考えており、BPN14770に大きな期待を寄せています。

また、Tetra社の有する中枢神経系の創薬ノウハウの当社研究開発への活用も期待しております。そこで、PICASSO ADの結果速報取得前のタイミングであっても、Tetra社との戦略的提携をさらに強化することに意義があると考え、Tetra社への出資比率を50%まで引き上げる出資契約とともに、条件を満たした場合には子会社化する合併契約をTetra社と新たに締結したことをになります。
<BPN14770について>
BPN14770は、記憶形成に関わる Phosphodiesterase 4D(PDE4D)を標的とするネガティブアロステリックモジュレーターです。PDE4Dは、細胞内セカンドメッセンジャーである環状ヌクレオチドcAMPを分解する酵素であり、BPN14770は、神経細胞内のシグナル伝達系を制御することで、認知機能を向上させることが示唆されています。BPN14770は、非臨床試験において、脆弱X症候群における神経結合の成熟を促進するとともに、アルツハイマー病において障害される神経結合を保護することが示されています。

現在Tetra社は、アメリカにおいて軽度アルツハイマー型認知症を対象にしたPhase II試験、およびFDAよりオーファン指定を受けた脆弱X症候群患者を対象にPhase II試験を実施中です。


<脆弱X 症候群について>
脆弱X 症候群は、FMR1 遺伝子と呼ばれる遺伝子の異常により、幼少期から知能の障害などが見られる疾患です。人種によらず男性では約7,000人に1人、女性では約11,000人に1人と推定されています3。有効で安全性の高い治療薬はなく、大きなアンメットメディカルニーズが残されています。
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