PULSE INTERVIEW 【後編】

人工知能で戦うための3つの戦略

高橋雄介
ChatCenter iO CEO
2016年11月26日

どうやって機械と共存するか

今、人工知能(AI)を使ったボットというのも広がっていますが、人工知能についてどうお考えでしょうか?
人工知能よるボットについて、自動化すれば良い、AI化すれば良い、と思っている会社は多いかと思います。しかし、そういた文脈で必ずしもよく議論されていないことは、先程も言った「どうやって人と機械が共存するか」という所なんです。

実は、AIを使わなくても6割位のことは、単純なルールを書くだけで、自動回答の対応ができます。
具体的にはどういうことなのでしょう?
時間型、空間型、パターンマッチ型の条件判定で応答できるようなパターンです。例えば、時間外の問い合わせには「明日の朝一番で折り返しますね」と人が対応したように伝えることは容易ですよね。

また、不動産仲介会社の営業マンの方が物件を案内している等で店舗にいないときは、「ただいま、お客様のご案内中ですので、できる限り早く折り返します」という営業マン本人からの連絡は、電話やメールが繋がらないことのフラストレーションよりも、ずっと安心できますよね。

あるいは、パターンマッチ型といったのは1か0かで判定できるような場合です。例えば、ホテルのコンシェルジュ・サービス宛に「hungry(空腹である)」というキーワードが問い合わせのメッセージの中に入っていたら、「レストランをお探しですか?」と自動で回答することは理にかなっています。

「人と機械の境界線をどこに引くのか、あるいはどう共存するのか」

つまり、人間ができない業務を肩代わりして共存するということでしょうか?
はい、および、いいえ、と答えることができるかと思います。人間ができないことで機械にできることは機械に効果的に肩代わりしてもらうということが理にかなっています。例えば、身体は1つしかありませんので同時に複数のお客様には対応できません。他方、人間ができることでも単純化して繰り返し再現できることは機械が最も得意な領域なので機械に任せることが得策です。例えば、時間外に連絡が来たら、機械でも「明日折り返します」と単純に折り返すことができます。ボットを導入する際には、ボットというツールの観点ではなく、「人と機械の境界線をどこに引くのか、あるいはどう共存するのか」という観点が重要です。

それで我々は、ChatCenter iOについて

ChatCenter iOは、チャットの技術の会社ではなく、会話におけるソリューションを提供している会社である
ChatCenter iOは、ボットの技術を提供するのではなく、テクノロジーがいかに人間の課題を解決できるのかに取り組んでいる製品である
ChatCenter iOは、AIに関する技術の製品ではなく、人間と機械の間のボーダラインをどう引くのかというインサイトを得ることができる製品である

と定義しているんです。

人工知能で勝負するための3つのやり方

では、どのようにして人工知能で差をつければ良いのでしょうか?
企業が人工知能で勝負するには3つのやり方があると考えています。

①お金をかけてデータを集める
②優秀な人材を高額採用、もしくは企業ごと買収する
③領域毎に特化した人工知能を作る

の3つです。

人工知能の精度の向上には、基本的に、データと、人材(研究者)の2つが必要になります。Googleや、Facebookのような大企業は、この①と②をお金をかけて、やっているんです。こうした企業で働いている友人は冗談交じりに「冷蔵庫にガンガン銃が入ってるよ(予算が潤沢にあるよ)」っという話しをしてくれます。

しかし、こうした戦い方は大きな企業でしかできません。

なので、現実的で適切な戦略としては、③の戦略が重要です。つまり、業界毎に範囲を限定して、「こういう問い合わせにこう自動回答できる」ですとか、「こういう問い合わせには人間が直接回答することが一番良い」といった知見を溜めて行くことで、大きな先行投資をしなくても、実際にお客様に効果のある人工知能のエンジンを提供できるのだと考えています。

ビジョンとミッションとパッションのどれが欠けても真のプロフェッショナルにはなれない

大企業は投資金額とデータの量と高額人材で勝負しているので、僕らのような小さな会社は大企業よりも素早くスピード感を持って、個別の分野ごとに特化した知見をいかに創っていけるか、つまり、成熟前のマーケットにおけるイノベーターやアーリー・アダプターの顧客ベースとその市場の現在と未来に対する先見を持っていることが重要だと考えています。

蛇足ですが、慶應SFCの大学院にて、恩師である清木康先生から研究者として学んだことが今起業家として生きているなかで活かされています。「博士号を取って初めてプロフェッショナルとしてスタートラインに立てる。ビジョンとミッションとパッションのどれが欠けても真のプロフェッショナルにはなれない。」
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高橋雄介

ChatCenter iO CEO
1980年生まれ。AppSocially創業者CEO。慶應義塾大学SFCにてPhDを取得後、研究者および大学講師を経て、独立。2社目の起業で500 Startupsのプログラムに参加。ChatCenter iOを開発、提供している。