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武田薬品工業株式会社と希少神経疾患患者の生活に大きな変化をもたらす治療薬の開発を行うバイオ医薬品企業であるOvid Therapeutics Inc.が、ドラベ症候群(DS)またはレノックス・ガストー症候群(LGS)を含む発達性およびてんかん性脳症の治療薬として臨床段階にあるsoticlestat(TAK 935/OV935)について、グローバルでの開発および販売権をOvid社から獲得する独占契約を締結したことを発表しました。

武田薬品の湘南研究所で発見されたsoticlestatは、強力で選択性の高い、ファースト・イン・クラスのコレステロール24ヒドロキシラーゼ(CH24H)阻害剤です。今回の独占契約に基づき、soticlestatのグローバルでの権利を武田薬品が獲得し、今後の全世界での開発と販売を単独で担うことになります。Ovid社はマイルストン支払いや将来の開発・販売費用を含め、武田薬品に対していかなる金銭的義務も負いません。

Ovid社は契約時に1億9,600万米ドルの一時金を受領し、開発、承認、発売等の各マイルストン達成時に最大6億6,000万米ドルを受領する権利を有します。さらにOvid社は、soticlestatが承認・上市された場合、販売額に応じた二桁台前半から最大20%の段階的なロイヤリティを受領することとなります。このたびの新たな契約は、ハート・スコット・ロディノ法(アメリカ・独占禁止法)に基づく該当する規制当局による承認を含め、一定のクロージング条件を満たすことを前提に、2021年3月末までにクローズする予定です。

2017年に締結された両社間の共同開発・販売契約に関する提携により、武田薬品はOvid社の株式を取得し、臨床第3相試験の開始を含む申請・承認等に関するマイルストンに対して最大8,500万米ドルを受領する権利を有していました。Ovid社は希少小児てんかん領域における概念実証を成功裏に行ない、グローバル規模でsoticlestatの開発を主導しました。

ドラベ症候群およびレノックス・ガストー症候群治療の新たな選択肢の研究推進

武田薬品とOvid社は2020年8月に臨床第2相ELEKTRA試験結果を報告済です。試験においてSoticlestat (TAK-935/OV935)が主要評価項目である発作頻度減少を達成しており、2021年4月~6月の間にDSおよびLGSの小児・若年成人の患者さんを対象とした臨床第3相試験を開始する予定です。

Soticlestat(TAK-935/OV935)について

soticlestatは、強力で選択性の高い、ファースト・イン・クラスの経口コレステロール24ヒドロキシラーゼ(CH24H)阻害剤であり、発作感受性を低下させ、発作制御を改善する可能性があります。CH24Hは主に脳で発現し、そこでコレステロールを24S‐ヒドロキシコレステロール(24HC)に変換し、脳コレステロールの恒常性バランスを調節します。

24HCはNMDA受容体のポジティブアロステリックモジュレーターであり、てんかんに関連するグルタミン酸作動性シグナル伝達を調節します。グルタミン酸は脳内の主要な神経伝達物質の1つであり、発作の開始および進展に関与していることが示されています。

最近の論文では、CH24HがNMDA受容体の調節を介してグルタミン酸経路の過度な活性化に関与し、CH24Hの発現増加がアストロサイトによるグルタミン酸の再取り込みを妨げ、てんかん原性と神経毒性が生じることが示されています。soticlestatによるCH24Hの抑制はニューロンの24HCレベルを低下させ、脳の興奮性/抑制性バランスのゆがみを改善する可能性があります。

ドラベ症候群とレノックス・ガストー症候群について

ドラベ症候群とレノックス・ガストー症候群は、まれなてんかん症候群の不均一なグループである発達性およびてんかん性脳症(DEE)の一種です。ドラベ症候群およびレノックス・ガストー症候群は、典型的な場合で乳児期または幼児期に発症し、多くの抗発作薬で抑制が難しい非常に難治性の疾患です。

ドラベ症候群はSCN1A遺伝子の遺伝子変異が原因で起こることが最も多く、アメリカでは15,000人から21,000人に1人の割合で発症します。ドラベ症候群は、けいれん性強直間代発作に進展しうる遷延性焦点発作を特徴とします。ドラベ症候群を有する小児患者は、発作が増加するにつれて発達障害を発症します。そのほかによくみられる症状には、食欲の変化、バランス感覚の悪化、かがみ歩行などがあります。

レノックス・ガストー症候群は、アメリカでは約11,000人に1人が罹患すると推定されています。レノックス・ガストー症候群は不均一な病態であり、いくつかの異なるタイプの発作、最も一般的には弛緩性(脱力)、強直性および非定型欠神発作を特徴とします。

レノックス・ガストー症候群を有する小児患者では、認知機能障害、発達のマイルストン達成の遅れや行動上の問題が引き起こされることもあります。レノックス・ガストー症候群は、様々な基礎疾患によって引き起こされることがありますが、原因を特定できないこともあります。
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