PULSE INTERVIEW 【中編】

ボットで定義するのは「人と機械のボーダーライン」

高橋雄介
ChatCenter iO CEO
2016年11月9日

チャットボットのプラットフォームを提供

ChatCenter iOでは、どういった事業を行っているのでしょうか?
主に日本の大手企業様向けに、ChatCenter iOといういわゆるチャットボットのプラットフォームを提供してます。企業とそのお客様の間に素早くに簡単にコミュニケーションをすることができるチャンネルを新たに提供させていただいています。
具体的には、どのようなことをされているのですか?
この1年くらいは、日本の市場に特化し、大手の企業様にのみ提供させていただいており、製品もウェブサイトも一般公開せずにステルスモードで事業をしてきました。

例えば、リクルートホールディングス様の不動産マーケットプレースであるSuumoに提供させていただくにあたっては、チャットのツールのみを提供するのではなく、Suumoのチームにとってのデザイン・チームのように振る舞いながらユーザーリサーチのお手伝いをさせて頂くなかで、「不動産仲介会社様とエンドユーザであるお客様がコミュニケーションしていくなかで、どのようなロスやコストが発生しているのか」を共同で調査させて頂き、単純にテキストのチャットだけに止まらない効率化のための機能を製品に反映させてきています。

ChatCenter iOでは、通常メールが数回往復して確定する「スケジュール調整」を2タップでできるようにしたり、住所をタイプしたりGoogleマップのリンクをコピペして送信するような煩雑な「ロケーション共有」を1タップでできるようにするなど、UXの観点から効率的なコミュニケーションができるような機能を提供しています。その結果、もっと人間味のあるコミュニケーションに時間を使っていただけるようにというのが目標です。弊社ではこれを、顧客開発という手法に則って実施しており、これは、弊社で作りたい製品を作るのではなく(つまり、製品開発中心ではなく)、実際のお客様に製品を提供させて頂きながら製品を洗練させ、弊社の組織も構築して行くという手法です。

アメリカ市場を対象に事業を拡大

アメリカではどういったことをされているのでしょうか?
現在製品の一般公開を控えています。それに伴って、米国市場を対象市場に加えました。これまでは、特定の市場で、限られた数のお客様にのみ提供してきた製品とサービスの対象を拡大することになりますので、その準備を開始しています。

また、米国市場に限らず、弊社の成長フェーズとして、顧客開発の初期のフェーズである「顧客発見」と「顧客実証」での検証が完了し、初期の検証でわかったことを繰り返し再現し、スケールさせて行くという「顧客開拓」のフェーズに入りますので、あまりこれまで、導入例や事業を公開もせずにやっていたのに対して、10月から「販売可能であることが検証済みである(つまり、将来の機能追加を前提で初期から顧客となって応援してくている有償顧客がいる)にもかかわらず、未着手の機能」がありますので、先行投資をして開発のスピードを上げていくというモードに切り替えました。

このような目的で最近追加の資金調達を実施しました。来年の米国でのシリーズAの資金調達も見えてきました。

弊社の株主の皆さんは、定期的に有益なアドバイスもくださいますし、ガンガン大企業のお客様を紹介して頂けるので非常に助かっています。また、採用も急激に進めています。例えば、カナダ出身の日本人で、野村證券のニューヨーク支社で、IPO支援やM&Aをしていた方が日本側に入ってくれて、今はデザインの文脈で仕事をしてもらっています。
どうして金融畑の方が、デザインを行っているのですか?
アメリカの市場で製品を売っていくということは、まずは少なくともマーケティングのメッセージやセールスの体制をローカライズする必要があると考えています。そのため、初期の顧客開発が完了した日本市場については成長の基盤を盤石化するため投資家や人材を入れた一方で、アメリカでの売り方、立ち振舞い、コンテンツマーケティングの仕方についての検証を開始しています。検証といっても、顧客開発ですので、トライアルや試用ではなく実際のお客様に対して製品とサービスを提供しながら製品と組織の構築を進めています。

たとえば、Facebookの初期のメンバーとして主にモバイルチームの成長を支えたメンバーが入ってくれてました。シリコンバレーの歴史において僕らよりも2世代くらい上で成果を出した人なので、僕らが直接開拓できない企業に対してドアを開けてくれたり、提携や製品戦略の可能性を拡げてくれたり、なにより、Facebookの急成長を影で支えつつ体験してきたカルチャーを、これから成長をしようとしている弊社に吹き込んでくれています。
アメリカでは今、どういったことがニーズとして存在しているのでしょうか?
アメリカでは、カスタマーサポートの対応が悪いせいで、トップブランドなのに顧客評価が悪いという企業が数多くあります。その問題はコンタクト・センターの品質にあることが多いと言われています。ChatCenter iOが、その具体的なソリューションを提供する製品となれると見込んでいます。

導入しても、うまく使えない企業が多い

そうした事業を行っている企業は多いのですか?
単純なチャットのツールであれば、数十ドル程度で導入できるものを提供している会社はいくつもあります。他方、僕らが顧客開発をする中で明らかになっていることは、企業側がそういったツールを導入してもうまく使えず、使い方もわからない、運用されていないなど、大企業でチャットを導入したがうえの困難も生まれているということです。また、ボットや人工知能の技術が溢れている一方で、正しい導入方法を見つけきれていない企業が多いようにも感じます。
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高橋雄介

ChatCenter iO CEO
1980年生まれ。AppSocially創業者CEO。慶應義塾大学SFCにてPhDを取得後、研究者および大学講師を経て、独立。2社目の起業で500 Startupsのプログラムに参加。ChatCenter iOを開発、提供している。