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ロート製薬の細菌性のアレルギー性結膜炎研究

ロート製薬株式会社が、細菌によって症状が増悪するアレルギー性結膜疾患について研究で、黄色ブドウ球菌の細胞壁類似タンパク質(以下、細菌由来タンパク質)が角膜上皮細胞に作用し、アレルギー反応を誘発する生理活性物質(ケモカイン)の一つであるRANTESの産生を促進することを発見したと発表しました。

さらに、抗アレルギー剤の「トラニラスト」がRANTESの産生を抑制することを確認されたと言う。これらの結果から「トラニラスト」は細菌によって増悪するアレルギー性結膜疾患において、アレルギー反応が過剰に誘導されることを抑制することで、治療に役立つことが期待できます。

黄色ブドウ球菌がアレルギーを悪化させる!?

アレルギー性結膜疾患は、花粉やハウスダストによりI型アレルギー反応が引き起こされ、目のかゆみや充血などの自覚症状を伴う疾患です。

近年、アレルギー性結膜疾患の一つである「アトピー性角結膜炎」の患者の角結膜には、細菌の黄色ブドウ球菌が多数存在していることが報告されており、症状の増悪に関与していると考えられています。

しかし、黄色ブドウ球菌がアレルギー症状を増悪させる詳細なメカニズムは十分に分かっていなかったのです。

そこで、今回のロートの研究ではアトピー性角結膜炎の角膜を想定した細胞モデルで、細菌によってアレルギー反応が増悪するメカニズムと、抗アレルギー剤のトラニラストの作用について研究が行われた。

実験結果

「結果1:細菌由来タンパク質は角膜上皮細胞に作用し、RANTESの産生を誘導する

アトピー性角結膜炎の角結膜には、細菌の黄色ブドウ球菌が多数存在することが報告されていますが、黄色ブドウ球菌の細胞壁のタンパク質は、細胞に認識されると炎症を引き起こすことが知られています。

そこでアトピー性角結膜炎の角膜を想定した細胞モデルとして、黄色ブドウ球菌の細胞壁類似タンパク質(以下、細菌由来タンパク質)を角膜上皮細胞に作用させた評価系を作成し、アレルギー反応が増悪するメカニズムについて検討を行いました。結果、細菌由来タンパク質は、角膜上皮細胞に作用し、アレルギー反応を引き起こす生理活性物質(ケモカイン)の一つであるRANTESのmRNAおよびタンパク質の発現を誘導することが明らかになりました。
※1 細菌:黄色ブドウ球菌の細胞壁類似タンパク質(細菌由来タンパク質)
試験方法:細菌由来タンパク質を角膜上皮細胞に作用させ、RANTESのmRNAの発現量(定量的リアルタイムPCR法)、タンパク質の発現量(ELISA法)を測定した。(n=3、コントロールを100とする)
結果2:トラニラストは細菌由来タンパク質により誘導されたRANTESの産生を抑制する

細菌由来タンパク質が角膜上皮細胞に作用することで、生理活性物質(ケモカイン)の一種であるRANTESの発現が誘導されることが分かりました。そこで、RANTESの発現に対する、抗アレルギー剤トラニラストの作用について検討を行いました。結果、トラニラストはRANTESのmRNAおよびタンパク質の発現を抑制することが分かりました。
試験方法:あらかじめトラニラストで処理した角膜上皮細胞を細菌由来タンパク質で刺激し、RANTESのmRNAの発現量(定量的リアルタイムPCR法)、タンパク質の発現量(ELISA法)を測定した。(n=3 、コントロールを100とする)
結果3:トラニラストはIκBの活性化を抑制する

RANTESの発現はNF-κBという転写因子によって制御されています。NF-κBは図1に示したように非炎症時、IκBにより不活性化されていますが、炎症時はIκBがリン酸化IκB(活性化IκB)となることで、NF-κBも活性型となり、RANTESの発現が誘導されます。作成した細胞モデルにおいて、細菌由来タンパク質は活性化IκBを増加させましたが、トラニラストは、増加した活性化IκBの量を低下させました。このことから、トラニラストがRANTESの発現を抑制するメカニズムの一つとして、活性化IκBの発現抑制が関わっていることが考えられました。
試験方法:「細菌由来タンパク質のみを作用させた細胞」、「あらかじめトラニラストで処理した後に細菌由来タンパク質を作用させた細胞」の活性化IκBの量を確認。活性化IκBの量はウエスタンブロット法にて測定した。バンドの濃淡は活性化IκBの量を示し、濃淡を画像解析し、数値化したものをグラフに示した。」

引用元:http://www.rohto.co.jp/news/release/2018/0315_01/
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