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ノバルティス ファーマ株式会社が、2020年2月、欧州委員会 (EC) より滲出型加齢黄斑変性の治療薬として、ブロルシズマブ硝子体内注射液の承認を取得したことを発表しました。ブロルシズマブは、欧州委員会より承認された抗VEGF薬であり、疾患活動性の重要なマーカーである網膜の滲出液(IRF/SRF) の消失(副次評価項目) がアフリベルセプトと比較して、優れていることを示した初めての薬剤です。また、ブロルシズマブでは、適切な滲出型加齢黄斑変性患者に対し、導入期直後から3ヵ月間隔投与が可能となります。この度の欧州委員会の決定は、イギリス、アイスランド、ノルウェー、リヒテンシュタインのほか、27の欧州連合加盟国すべてに適用されます。

滲出型加齢黄斑変性は、網膜の中で中心視力の鮮明さを担う部位である黄斑の下に、異常な血管の形成を促進するタンパク質であるVEGFの過剰産生によって引き起こされる慢性的な眼の変性疾患です。この疾患は、65歳以上の人々における重度の視力喪失および中途失明の主な原因であり、全世界で2千万人以上の方が罹患しているとされています。

EUでは、推定170万人が滲出型加齢黄斑変性の影響を受けているとされています。滲出型加齢黄斑変性の初期症状には、かすみ目や視覚の歪みがあり、病気が進行するにつれて、患者は中心視力を失うため、目の前の物を直接見ることが困難になります。

この度の欧州委員会での承認は、ブロルシズマブが主要評価項目を達成した第III相臨床試験であるHAWK試験およびHARRIER試験より得られた知見に基づいており、投与開始1年時(48週時)における最高矯正視力の平均変化量から、ブロルシズマブは、アフリベルセプトに比べて非劣性であることが検証されました。また、投与開始1年時に改善した視力は2年時にも維持されました。

網膜の滲出液に関する副次評価項目において、ブロルシズマブはアフリベルセプトに比較して優れていることが示されました。正常な網膜構造を破壊し黄斑に損傷を与える可能性のある2種類の滲出液である網膜内および/または網膜下の滲出液 (IRF/SRF)が認められた患者の割合は、ブロルシズマブ投与群がアフリベルセプト投与群に比較して有意に低率でした(HAWK試験:ブロルシズマブ6mg投与群で31%、アフリベルセプト投与群で45%; HARRIER試験1年時:ブロルシズマブ6mgで投与群26%、アフリベルセプト投与群で44%)。

さらに、ブロルシズマブは、アフリベルセプトと比較して、投与開始16週時および1年時において、網膜の滲出液に関連する別の指標である中心サブフィールド網膜厚の優れた減少を示しました。投与開始1年時にみられたこの差は、2年時にも維持されました。また、両試験において、投与開始16週時に疾患活動性が認められた患者は、ブロルシズマブ投与群がアフリベルセプト投与群と比較して30%少なくなっていました。

HAWK試験およびHARRIER試験では、1年時で半数以上の患者が3ヵ月投与間隔を維持しました(HAWK試験で56%、HARRIER試験で51%) 。それ以外の患者は、2ヵ月間の投与間隔で治療を受けました。

ノバルティスは、2019年10月、ブロルシズマブについて、米国食品医薬品局より、滲出型加齢黄斑変性の治療薬として承認を取得しました。ブロルシズマブは、2020年1月にスイス当局であるSwissmedic、オーストラリア当局であるTGAより滲出型加齢黄斑変性の治療薬として承認を取得しました。ノバルティスは、ブロルシズマブを世界中の患者さんに届けられるよう注力しており、現在、カナダ、日本、ブラジルで承認申請が行われています。

ブロルシズマブについて

ブロルシズマブは、開発段階で臨床的に最も進歩したヒト化一本鎖抗体フラグメントです。一本鎖抗体フラグメントは、一般的な抗体と比較して分子量が小さく、組織への透過性が高く、体循環からのクリアランスが早く、また薬物輸送上の特徴をもつことから、開発ニーズの高い医薬品です。

ブロルシズマブはこの革新的な独自の構造により分子量が小さくなり(26kDa)、すべてのVEGF-Aアイソフォームに高い親和性をもち、それらのシグナル伝達を阻害します。ブロルシズマブは、高濃度で投与できるように設計されており、他の抗VEGFよりも多くの阻害機能を有します。

非臨床試験において、ブロルシズマブはリガンド受容体の相互作用を防止することによりVEGF受容体の活性化を阻害しました。VEGF経路を介したシグナル伝達の亢進は、眼の病的な血管新生および網膜浮腫と関連しています。脈絡網膜疾患を有する患者において、VEGF経路の阻害は、血管新生病変の増殖の阻害、網膜浮腫の消失、および視力改善をもたらすことが明らかになっています。
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