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中外製薬株式会社が、アクテムラ®(トシリズマブ)の第III相COVACTA試験において、主要評価項目である重症COVID-19関連肺炎による成人入院患者の臨床状態の改善を達成しなかったことを発表しました。
また4週目時点の死亡率の差など、主要な副次評価項目も未達でしたが、退院までの期間についてはアクテムラ投与群では20日、プラセボ投与群では28日(それぞれ中央値)でした。アクテムラに対する新たな安全性のシグナルは認められませんでした。
この試験のデータの解釈には、さらなる詳細な解析が必要となります。試験結果は査読付き医学雑誌に提出する予定です。

代表取締役社長 COOの奥田 修は次のように述べました。
COVID-19が世界中で未曾有の被害をもたらしています。残念ながら、主要評価項目は達成できませんでしたが、本試験により、重症COVID-19関連肺炎患者に対するアクテムラによるIL-6シグナル阻害の効果・安全性について有用なデータが得られたと考えています。本試験データを詳細に解析し、得られた知見を今後の開発に活かしていきます。
COVACTA試験は、アクテムラ静脈内投与と標準的な医療措置の併用の安全性および有効性を、プラセボと標準的な医療措置の併用と比較した試験です。主要評価項目は重症COVID-19関連肺炎による成人入院患者の臨床状態の改善であり、患者の臨床状態は集中治療や人工呼吸器、および酸素投与の必要性に基づく7カテゴリー順序尺度により評価されます。

COVACTA試験は、重症COVID-19関連肺炎による成人入院患者を対象にアクテムラを評価する初の二重盲検プラセボ対照無作為化国際共同第III相臨床試験であり、アメリカ、カナダ、ヨーロッパで実施されています。

COVACTA試験の主な有効性と安全性の概要

•主要評価項目は未達でした。4週目時点の7カテゴリー順序尺度を用いて評価した臨床状態において、アクテムラ投与群とプラセボ投与群の間に統計学的に有意な差は認められませんでした。[p=0.36、オッズ比(95%信頼区間)=1.19(0.81~1.76)、統計学的有意性がありオッズ比が1を超える場合,アクテムラが優位となります]。
•アクテムラ投与群は、プラセボ投与群と比較し、退院または退院待機状態までの期間を短縮しました。退院または退院待機状態までの期間の中央値は、アクテムラ投与群では20日、プラセボ投与群では28日でした[期間の中央値(95%信頼区間):アクテムラ投与群=20.0(17.0~27.0)、プラセボ投与群=28.0(20.0~評価不能)、p=0.0370]。但し、主要評価項目は未達のため、その差について統計学的な有意性を判断することはできません。
•人工呼吸器未使用日数において、アクテムラ投与群とプラセボ投与群の間に統計学的に有意な差は認められませんでした[中央値はアクテムラ投与群で22日、プラセボ投与群で16.5日、中央値の差(95%信頼区間)=5.5(-2.8~13.0)、p=0.3202]。
•4週目時点の感染症の発現率は、アクテムラ投与群で38.3%、プラセボ投与群で40.6%、重篤な感染症の発現率は、アクテムラ投与群で21.0%、プラセボ投与群で25.9%でした。COVACTA試験では、アクテムラに対する新たな安全性のシグナルは認められませんでした。


ロシュは、アクテムラのCOVID-19関連肺炎に対する治療薬としての評価をおこなうため、COVACTA試験に加え、REMDACTA試験を含む複数の臨床試験を開始しています。また、企業主導以外の臨床試験も数多く実施されています。なお、アクテムラはこれまでにCOVID-19関連肺炎に対する承認は得られていません。
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