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中外製薬株式会社が、視神経脊髄炎スペクトラム(NMOSD:Neuromyelitis Optica Spectrum Disorder)を対象として開発中のヒト化抗IL-6レセプターリサイクリング抗体サトラリズマブ(開発コード:SA237)について、2019年9月のヨーロッパ多発性硬化症学会(ECTRIMS)で、多施設共同第III相ランダム化二重盲検プラセボ対照比較試験SAkuraStar試験の結果を発表したことを発表しました。

SAkuraStar試験では、サトラリズマブ単剤投与の有効性および安全性が評価されました。

SAkuraStar試験において、サトラリズマブは、NMOSDの患者(抗AQP4抗体陽性/陰性をいずれも含む)に相応する全体集団における再発リスクを55%減少させました(ハザード比:0.45[95%信頼区間:0.23-0.89]、p=0.0184)。

また治験期間を通じて、サトラリズマブは良好な安全性プロファイルを示しました。


上席執行役員 プロジェクト・ライフサイクルマネジメント共同ユニット長の伊東 康 氏は、
「サトラリズマブは、2本の臨床試験で単剤およびベースライン治療への上乗せ投与のいずれにおいても有用性を示した、NMOSDに対する初の治療薬です。IL-6阻害がNMOSD治療における有効なアプローチであり、サトラリズマブがNMOSDの患者さんに広く貢献できることを示すものです」と述べるとともに、

「NMOSDは、再発により障害が蓄積され、生命を脅かすことがあります。患者さんの状態に応じた新たな治療候補としてサトラリズマブを一日も早く提供できるよう、本年中のグローバル申請に向けてロシュと協働してまいります」と語っています。

参考

<サトラリズマブについて>

サトラリズマブは中外製薬が創製した、ヒト化抗IL-6レセプターリサイクリング抗体です。NMOSDの病態に深くかかわるとされるIL-6シグナルを阻害することで、NMOSDの再発を抑制することが期待されています。

NMOSDの患者を対象とした2つの第III相国際共同治験において、ベースライン治療に対する上乗せ投与および単剤投与でそれぞれ主要評価項目を達成しました。これらの2試験は希少疾患に行われた大規模臨床試験の一つです。アメリカおよびヨーロッパでは希少疾病用医薬品の指定を受けています。また、NMOおよびNMOSDを対象として、2018年12月にアメリカ食品医薬品局からBreakthrough Therapy(画期的治療薬)の指定を受けました。


<NMOSDについて>

NMOSDは、視神経と脊髄の炎症性病変を特徴とする中枢神経系の自己免疫疾患であり、生涯にわたって衰弱を引き起こします。NMOSDの患者は、症状の繰り返す再発経過をたどることが多く、神経の損傷や障害が蓄積されます。

症状として、視覚障害、運動機能障害や生活の質の低下などが現れます。症状の発生が致死的な結果となる場合もあります。NMOSDは病原性の抗体であるAQP4抗体に関わっているとされています。

AQP抗体はアストロサイトと呼ばれる中枢神経に存在する細胞を標的としており、視神経や脊髄、脳に炎症を引き起こすことが知られています。またAQP4抗体はNMOSDの患者さんの3分の2で認められます。

炎症性サイトカインであるIL-6は、NMOSDの発症に重要な役割を果たしていることが明らかになりつつあります。2006年に視神経炎および脊髄炎を伴うNMOの診断基準、2007年に視神経炎や脊髄炎のみの症例に対するNMOSDの診断基準が提唱されました。2015年に両疾患を整理・統合し、広義の疾患群として新たにNMOSDの概念が提唱され、現在広く用いられています。
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