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エーザイ株式会社とダンディー大学(University of Dundee、スコットランド)が、がん領域創薬研究における標的タンパク質分解誘導薬(Proteolysis Targeting Chimeras:PROTACs)に関する共同研究契約を締結したことを発表しました。

 PROTACsは、タンパク質に親和性を有する2つの分子を1分子に共有結合した薬剤です。1つはユビキチン化酵素(E3リガーゼ)と結合し、もう1つは分解すべき標的タンパク質に結合します。これにより、PROTACsはE3リガーゼを介して標的タンパク質に分解の目印となるユビキチンを付加し、細胞内分解システムにより標的タンパク質の分解を促します。PROTACsにより、従来の低分子阻害剤ではアプローチが困難となっていた、がん細胞のタンパク質に対する新たな創薬への展開が期待されます。

 この共同研究では、PROTACs研究の世界的第一人者であるダンディー大学のSchool of Life Sciences、Alessio Ciulli教授が研究を推進します。この共同研究では、Alessio Ciulli研究室のPROTACsに関する世界最高水準の専門知識・技術に、エーザイのがん領域における探索研究および臨床開発経験、ならびに標的タンパク質分解誘導に関する基礎研究の知見を組み合わせることにより、革新的新薬の創出が目指されます。

< 参 考 >

1.標的タンパク質分解誘導薬(PROTACs)について
 従来の低分子阻害剤は、標的酵素の活性部位に結合し、その機能を阻害することにより薬理作用を発現します。

一方、PROTACsは、標的タンパク質に結合する部位とユビキチン化酵素と結合する部位を持つキメラ型化合物であり、PROTACsを介し、標的タンパク質をユビキチン化酵素に近づけユビキチン化を引き起こすことで、細胞内に存在するタンパク質分解酵素(プロテアソーム)による分解へと導きます。

PROTACsは標的タンパク質の分解により薬理作用を発現することから、従来の低分子阻害剤では難しかった、酵素活性を持たないタンパク質を標的に出来るだけでなく、阻害剤とは異なる薬理作用も期待されます。

2.ダンディー大学について

 ダンディー大学は、2014年のResearch Excellence Frameworkによると、イギリスにおけるバイオロジカルサイエンスを研究する大学の中でトップに位置づけられています。ダンディー大学は、教育と研究の質の高さから国際的に認められており、社会全体の生活を変えるという中核的な使命を担っています。

ダンディー大学には15,000人以上の学生が在籍しており、スコットランドで最も学生に優しい都市づくりに貢献しています。ダンディー大学は、スコットランド東部の数百万ポンド規模のバイオテクノロジー産業の中核拠点となっており、地域経済の発展にも大きく寄与している。
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