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中外製薬株式会社が、自社で創製したpH依存的結合性ヒト化抗IL-6レセプターモノクローナル抗体エンスプリング®について、成人の抗アクアポリン4(AQP4)抗体陽性視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD:Neuromyelitis Optica Spectrum Disorder)を適応症として、アメリカ食品医薬品局(FDA)より承認を取得したことを発表しました。

エンスプリングの投与方法は4週1回の皮下投与です。エンスプリングは、2018年12月にFDAよりBreakthrough Therapy(画期的治療薬)の指定を受けております。FDAへの承認申請は、2019年8月にロシュ・グループのメンバーであるジェネンテック社が行いました。

この承認は、NMOSDを対象に実施した第III相国際共同治験SAkuraSky試験(NCT02028884)およびSAkuraStar試験(NCT02073279)の成績に基づいています。SAkuraSky試験はエンスプリング皮下投与と免疫抑制剤によるベースライン治療との併用療法、SAkuraStar試験はエンスプリング皮下投与の単剤療法の試験です。

エンスプリングは中外製薬が創製した、pH依存的結合性ヒト化抗IL-6レセプターモノクローナル抗体で、当社独自のリサイクリング抗体技術を初めて適用しています。NMOSDの主な原因であるIL-6シグナルを阻害することで、NMOSDの再発を抑制するとされています。エンスプリングはこれまでに、カナダ、日本、スイスの3カ国で承認されています。欧州においてはNMOSDに対して希少疾病用医薬品の指定を受けており、2019年に欧州医薬品庁(EMA)より承認申請が受理されています。

視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)について

NMOSDは、視神経と脊髄の炎症性病変を特徴とする中枢神経系の自己免疫疾患であり、永続的な神経障害により、生涯にわたって著しい生活の質の低下が生じます。

NMOSDの患者は、症状を繰り返す再発経過をたどることが多く、神経の損傷や障害が蓄積されます。症状として、視覚障害、運動機能障害や生活の質の低下を伴う疼痛などが現れます。症状の発生が致死的な結果となる場合もあります。

NMOSDの3分の2以上の患者では、病原性の抗体である抗アクアポリン4抗体が検出されており、抗アクアポリン4抗体はアストロサイトと呼ばれる中枢神経に存在する細胞を標的とし、視神経や脊髄、脳の炎症性脱髄病変に繋がることが知られています。

炎症性サイトカインであるIL-6は、NMOSDの発症に重要な役割を果たしていることが明らかになりつつあります。2006年に視神経炎および脊髄炎を伴う視神経脊髄炎の診断基準、2007年に視神経炎や脊髄炎のみの症例に対するNMOSDの基準が提唱されました。2015年に両疾患を整理・統合し、広義の疾患群として新たにNMOSDの概念が提唱され、現在広く用いられています。
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