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中外製薬株式会社が、開発中の抗CD79b抗体薬物複合体ポラツズマブ ベドチンが厚生労働省より、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma: DLBCL)を予定適応症とする希少疾病用医薬品に指定されたことを発表しました。

今回の指定は、未治療のDLBCLおよび再発、または難治性のDLBCLを対象として実施した海外第Ib/II相臨床試験(GO29044試験、GO29365試験)等の成績に基づいています。

上席執行役員 プロジェクト・ライフサイクルマネジメント共同ユニット長の伊東 康氏は、

「未治療のDLBCLは、リツキサンと化学療法の併用が標準療法ですが約40%の方が再発します。その後の自家造血幹細胞移植(autologous stem cell transplantation: ASCT)でも効果不十分なケースも多く、アンメットメディカルニーズが高い疾患です」と述べるとともに、「我々はポラツズマブ ベドチンを新たな治療選択肢の一つとして一日も早く患者さんにお届けできるよう、承認申請に向けた準備を進めてまいります」

と語っています。

ポラツズマブ ベドチンについて

ポラツズマブ ベドチンは、ヒト化抗CD79bモノクローナル抗体とチューブリン重合阻害剤をリンカーで結合させた、ファーストインクラスの抗CD79b抗体薬物複合体(antibody-drug conjugate: ADC)です。CD79bタンパクは、多くのB細胞で特異的に発現しており、新たな治療法を開発する上で有望なターゲットになり得ます。

ポラツズマブ ベドチンは正常細胞への影響を抑えつつCD79bに結合し、送達された化学療法剤によりB細胞を破壊すると考えられます。シアトルジェネティクス社のADC技術を使用してロシュ社が開発したポラツズマブ ベドチンは、現在、複数のタイプの非ホジキンリンパ腫を対象として臨床開発が行われています。

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫について

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は、非ホジキンリンパ腫の組織型サブタイプ一つであり、月単位で進行する中悪性度の疾患に分類されます。DLBCLの患者数は非ホジキンリンパ腫の中で最も多く、その30~40%を占めると報告されています。DLBCLは、60歳代を中心とした中高年齢層で多く発生し、診断時年齢の中央値は64歳と報告されています。

未治療のDLBCLに対する標準治療はリツキシマブと化学療法の併用とされていますが、約40%の患者で再発が認められ、十分な治療効果が得られていません。また、再発又は難治性のDLBCLに対する治療のひとつとして、適応となる患者では自家造血幹細胞移植(autologous stem cell transplantation: ASCT)の実施が推奨されていますが、その約半数はASCT実施前の救援化学療法が奏効せず、ASCTが実施できていません。さらに、年齢や合併症等でASCTの適応とならない患者では標準治療は確立されていません。

◆救援化学療法:主に造血器腫瘍において、治療の効果が得られない場合(治療抵抗性)、あるいは再発・再燃した場合に用いる治療を、救援化学療法もしくは救援療法と呼びます。がんの種類によって治療内容は異なりますが、その多くは複数の薬(抗がん剤など)を組み合わせた治療となります。救済療法、サルベージ療法と呼ばれることもあります。

希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)について

医薬品医療機器等法に基づき厚生労働大臣から希少疾病用医薬品として指定を受け、優先的に審査される医薬品です。

指定には、
①当該医薬品の用途に係る対象者数が本邦において5万人未満であること
②重篤な疾病を対象とすること
③代替する適切な医薬品または治療法がない、
または、
④既存の医薬品と比較して著しく高い有効性または安全性が期待される等、医療上の必要性が高いこと
⑤対象疾病に対して当該医薬品を使用する理論的根拠があること
⑥その開発に係る計画が妥当であること

といった要件が設定されています。
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