人造実験人間

ロボティック・バイオロジー・インスティチュートが販売しているロボットシステム「まほろ」が注目を集めている。「まほろ」は、極めて高い精度で実験を行うことができるLaboratory(研究室)とAndroid(人造人間)からの造語「LabDroid」を冠されているロボットである。
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手技って何?

この「まほろ」を、ただ実験を行うだけでなく、その精度の高さをいかして、同じ実験をなんども行うことー再現するーことに活用すると、大きな利点がある。

例えば、いまだにその真偽は明らかとは言えない「STAP細胞」事件の際に、実験の「再現」が問題となっていた。

その再現がむずかしい原因は「手技」の存在である。「手技」というのは、実験を行なう上で必要な技術のことを指していて、科学者の命とも言えるものである。

この手技を得るために高名な研究者のもとに弟子入りする例も多く、iPS細胞の山中伸弥京都大学教授の研究室に海外からわざわざ参加する人がいることからも、「手技」の重要性がわかるだろう。

実験の再現にも!?

プログラム通りに実験を行うことができる「まほろ」は、実験の「再現」においても大きな存在感を見せる。現在、提出される論文に記されている実験のうちの7割ほどが再現不可能と言われる中、「まほろ」に実験を再現させることで生命科学分野の研究不正を防ぐことができるようになるかもしれないからだ。
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VIEWS

不正の防止だけじゃない?

「まほろ」のような実験ロボットが役に立つのは、何も研究不正の防止だけではないだろう。

7割程度が再現不可能な生命科学領域の研究の中から、どれが再現できるか。つまり、身のある研究成果を選別することにも使えるのである。「まほろ」の利点はここにこそある。化学の進歩に本当に寄与する研究がどれか分かるのである。

これがわかるようになることで、その実験がさらに深められ、さらなる技術革新につながりうるからだ。良い研究を見分けることに「まほろ」が活躍することを願ってやまない。

もちろん、「まほろ」によってもたらされるのは現時点では、「研究の加速」である。人間の科学者が新たな発見をすることが、これからも変わらず求められ続ける。
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