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個別化がん治療

国立大学法人三重大学とブライトパス・バイオ株式会社が、ネオアンチゲンによる完全個別化がん免疫療法を作り出すことを目指して産学官連携講座「個別化がん免疫治療学」を設置したことと、がん免疫療法の標的となるネオアンチゲン決定技術基盤およびそれを用いた創薬モダリティの共同研究を平成30年3月1日から開始することを発表しました。

近年登場した免疫チェックポイント抗体は、がん治療にパラダイムシフトをもたらしました。免疫チェックポイント抗体が実現したこれまでにない臨床効果が意味することは、ふたつあります。

T細胞によるがん細胞攻撃

一つは、患者の体内にある免疫細胞の中でもがん細胞攻撃の中心的役割を担うT細胞が、がんを駆逐できるほど強力な機能を有することです。そして、もう一つは、このT細胞が患者体内でがん細胞を攻撃する時には、その患者のがん細胞の遺伝子変異に由来するネオアンチゲン(Neoantigen)が強力な目印になっていることです。

次世代シーケンサーの登場による遺伝子解析技術の飛躍的な進歩によって、患者ごとに全く異なるがん特異的遺伝子変異とネオアンチゲンを解析することが可能になりつつあります。 この講座で目指されるのは、この患者ごとに異なるネオアンチゲンを、一人一人に合わせてがん免疫療法として用いる完全個別対応型がん治療薬の創製とされます。

これまでのようなできるだけ多くの人に使える汎用品としての医薬から、個人差に対応する完全個別化を追求する次世代の医薬へと向かうものと考えられています。

三重大学×ブライトパス・バイオの講座

この講座では、がん患者の腫瘍組織を精緻に遺伝子解析する遺伝子変異の特定法と、その遺伝子変異を含み T 細胞による免疫反応を強く誘導するエピトープの同定法を確立してネオアンチゲンを決定する方法を確立します。このネオアンチゲン決定技術基盤を使った医薬品として最適な形態となる創薬モダリティの開発を行います。



この講座を担当する三重大学大学院医学系研究科の珠玖洋博士は、長年に亘ってがんペプチドワクチンや抗原受容体改変 T 細胞輸注療法(TCR-T)によるがん免疫療法を、基礎の探索研究やトランスレーショナルリサーチから First-in-human の臨床試験まで携わり、この講座のテーマである完全個別化がん免疫療法も探索的研究を既に5年以上前から進めています。

また、昨年まで4年間に亘り、厚生労働省の事業として日本のがん免疫研究者五十数名と当局の代表者が集結して、すべてのがん免疫療法モダリティと非臨床試験から臨床試験までの範囲を含むがん免疫療法開発ガイダンスが作成された際には、統括責任者として中心的役割を担いました。この講座では、これまで蓄積してきた情報と技術および実験系をフルに活用し展開されます。
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