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カルナバイオサイエンスの研究がNatureの科学雑誌に

カルナバイオサイエンス株式会社が、新しい創薬技術の開発を目指してアメリカに設立した「カルナバイオ C-Lab」(C-Lab)で得られた研究成果が、世界的総合学術雑誌「Nature」を発行するイギリス・Nature Publishing Groupの国際科学雑誌「Scientific Reports」に1月24日付にて掲載されたことを発表しました。


カルナバイオサイエンスは、キナーゼを標的とした低分子の分子標的薬の創製を目指して、がんや免疫炎症疾患等のアンメット・メディカルニーズが高い疾患を中心とした新規性の高い薬剤の研究開発を行っております。

C-Labでは、新しい創薬技術の開発を目指して基礎研究を実施してきましたが、今回、カルナバイオサイエンスが保有するスプリットルシフェラーゼ技術を応用し、より副作用の少ないBRAF阻害薬のスクリーニングシステムの開発に成功し、その研究成果が 、国際的な学術雑誌「Scientific Reports」に掲載されました(www.nature.com/articles/s41598-018-37213-2)。
近年、新しいがんの治療薬として研究開発が進められている分子標的薬は、従来の化学療法に比べて副 作用が少なく、治療効果が高いことが知られています。なかでも、細胞内の異常なシグナル伝達に関わる キナーゼを阻害する「キナーゼ阻害薬」は、がんの分子標的薬として注目されており、非常に活発な創薬 研究がおこなわれています。RAS-RAF-MEK-ERK細胞内シグナルカスケード反応を担うRAFキナーゼ(ARAF, BRAF, CRAFの3種が存在)は、細胞の生存、増殖の促進に関わっており、その遺伝子の異常が、細胞の異 常な増殖によってがんを発生させることが報告されています。

特に、BRAF遺伝子の異常はメラノーマ(悪性黒色腫。皮膚に発生する悪性度の非常に高いがん)の60%に見られ、BRAFキナーゼは、がん治療の標的 として非常に注目されています。すでにアメリカ食品医薬品局(Food and Drug Administration, FDA)で承認されているBRAF阻害剤であるvemurafenibやdabrafenibは、臨床において高い治療効果が報告されてい ますが、パラドックス的に起こるシグナル活性化によって皮膚扁平上皮癌などの副作用が起こることも知られています。

このことから、より副作用の少ない安全なBRAF阻害剤の開発が求められています。このパラドックス的シグナル活性化の原因は、BRAF阻害剤によるRAFの二量体化促進であることが報告されて いることから、カルナバイオサイエンスでは、RAFの二量体化を促進しないBRAF阻害剤を見出すことができるスクリーニング 系の開発が重要と考え、当該スクリーニング系の開発に着手いたしました。

そのため、カルナバイオサイエンスが保有するス プリットルシフェラーゼ技術を応用することで、細胞内でのRAFの二量体化を簡便に測定することができるバイオセンサーの開発に成功いたしました。作製したバイオセンサーをもちいて、これまでに報告されているRAF阻害剤10化合物について、RAF二量体化の促進の程度を網羅的に調べました。

その結果、 各阻害剤において、RAF二量体化促進活性の程度が様々であること、またRAF阻害活性とRAF二量体化促進活性の程度は必ずしも相関しないことを明らかにいたしました。この結果から、本論文で作製したバイオセンサーは、より副作用が少なく安全な次世代BRAF阻害薬の開発に役立つことが期待されます。
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