NEWS

スイスに本社を置くロシュ社が、症候性のI型脊髄性筋萎縮症(spinal muscular atrophy:SMA)の乳児を対象としたピボタル試験であるFIREFISH試験の用量設定パート(パート1)から得られたEvrysdi™(リスジプラム)のデータが、2月24日にNew England Journal of Medicine(NEJM)に掲載されたことを発表しました。

Evrysdiの投与開始12カ月時点で、90%(19/21名)の乳児が人工呼吸器の永続的な使用を必要とすることなく生存、33%(7/21名)が最低5秒間支えなしで座位が保持可能なことが示されました。

これらの所見は、症候性のI型脊髄性筋萎縮症の自然経過では通常みられないとされています。また、高用量コホートでは投与開始12カ月時点で、Evrysdiの投与により運動神経のSMN(survival motor neuron)タンパクレベルがベースラインから中央値で1.9倍増加していることが示されました。

探索的な有効性解析の結果、BSID-III(Bayley Scales of Infant and Toddler Development - Third Edition)の粗大運動スケールの評価では、投与開始12カ月時点で、7名(33%、7/21名)の乳児が最低5秒間支えなしで座位が保持可能なことが示されました。今回のマイルストンを達成した7名の乳児全員が、この試験の検証パート(パート2)で選択された高用量(41%、7/17名)で投与されていました。

またHammersmith Infant Neurological Examination Module 2(HINE-2)の評価では、投与開始12カ月時点で高用量コホートの9名(53%、9/17名)が首が座るようになり、1名(6%、1/17名)が立ち上がる(体重を支える)ことができるようになりました。

低用量と高用量のコホートのいずれにおいても12カ月間にわたり嚥下能力を維持し、86%の乳児(18/21名)が12カ月時点で単独または給餌チューブと併用することで経口摂取が可能でした。また、投与開始12カ月時点で、90%の乳児(19/21名)が人工呼吸器の永続的な使用を必要とすることなく生存していました。

3名の乳児が、それぞれ治療約1カ月、8カ月、13カ月の時点で致死的な合併症を経験しました。別の1名の乳児は、データカットオフ後の、治験薬の最終投与から約3.5カ月後に死亡しました。治験責任医師はEvrysdiとの関係は認められないと判断しています。

また、I型SMAの乳児を対象として利用される尺度であるCHOP-INTEND(Children’s Hospital of Philadelphia Infant Test of Neuromuscular Disorders)を用いて運動機能を評価しました。その結果、21名中11名の乳児(52%)のCHOP-INTENDのスコアが40ポイント以上改善しました。CHOP-INTENDの尺度範囲は0~64までであり、スコアが高いほど運動機能が良好であるということになります。

最もよくみられた有害事象は、発熱(52%)、上気道感染症(43%)、下痢(29%)、咳嗽(24%)、嘔吐(24%)、便秘(19%)、肺炎(19%)などでした。全体では、臨床データのカットオフ時点で24件の重篤な有害事象が報告されました。最もよくみられた重篤な有害事象には、肺炎が3例、気道感染症、ウイルス性気道感染症、急性呼吸不全および呼吸窮迫がそれぞれ2例、含まれています。

 FIREFISH試験のパート1に登録している乳児21名について、解析時点の治療期間の中央値は14.8カ月でした。登録時の年齢の中央値は6.7カ月であり、症状の発現は生後28日から3カ月の間となりました。
2 件