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株式会社キャンバスと静岡県公立大学法人静岡県立大学 創薬探索センターが、共同で構成するコンソーシアムにおけるCOVID-19新規治療薬の開発に関して、公益財団法人静岡県産業振興財団からの助成を取得することを発表しました。

【助成事業の内容】
「令和2年度医療機器産業基盤強化推進事業助成金」
助成対象事業:免疫応答に着目したCOVID-19治療薬の開発
助成対象者:静岡県立大学・キャンバスコンソーシアム2020
助成額:当コンソーシアムに対し概算6,000千円 (令和2年度分)
研究開発実施予定期間:2020年8月から2022年末まで(予定)

静岡県立大学とキャンバスが、従来から共同で探索研究中のIDO/TDO二重阻害剤(PCT/JP2018/038648)は、トリプトファンが分解されキヌレニンが産生される反応の速度を決定づける酵素であるIDOとTDOを特異的に阻害する、免疫系抗癌剤の候補化合物群です。

「キヌレニン」とは、生体内において、必須アミノ酸であるトリプトファンからナイアシンを生合成するキヌレニン経路において産生される主要な代謝物のひとつです。

キヌレニンは、①癌に対する免疫反応に関与していることや、癌への免疫反応阻害作用が報告されています。
また、②COVID-19患者およびインフルエンザ重症患者などでは、血清中のキヌレニンレベルが有意に亢進しており、このことが病状の悪化に関与していることが示唆されています。

キャンバスは従来、上記①の観点から、静岡県立大学と共同で、IDO/TDO二重阻害剤を抗癌剤候補化合物として探索研究を続けており、さまざまな知見が蓄積されています。そして今回、②の観点などに基づき、この知見をCOVID-19新規治療薬研究開発に活かすことができることから、静岡県立大学と共同での研究の開始に至ったものです。

一方、COVID-19患者では血清中のキヌレニンレベルが有意に亢進しており、このことが病状の悪化に関与していることが示唆されています。

このことから、IDO/TDO二重阻害剤は、新型コロナウイルス感染の重症化と並行して体内に蓄積されるキヌレニンの産生を抑制することで、SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)の感染進行に必要なACE2-B0AT1複合体の形成を抑制し感染の進行を抑え、サイトカインストームの発症に重要な役割を果たしているマクロファージの機能を正常化し、ウィルス排除に重要なTh1細胞の機能を改善する作用が想定されます。

さらに、IDO/TDO二重阻害剤は、炎症性サイトカインであるIL-6の産生を抑える作用が動物実験レベルで確認されており、サイトカインストームによる肺炎の重症化を防止する作用を発揮することも期待されます。

「サイトカインストーム」とは、血中サイトカイン(炎症性サイトカインの一種であるインターロイキン(IL)-6、TNF-αなどや、ウィルス等の増殖を抑制するインターフェロン類など)の異常上昇が起こり、時に死に至ることもある免疫反応。

感染症や薬剤投与などが原因で起きることが知られており、COVID-19患者やインフルエンザ重症患者などでのサイトカインストーム発生例が報告されています。

サイトカインストームは、今回のCOVID-19患者での発生例によって広く知られるようになりましたが、癌領域では従来から、がん悪液質(がん特有の体重減少、代謝異常も伴って浮腫や胸水・腹水なども発生)の原因になっているともされ、研究の対象となっていました。

また近年では、免疫系抗癌剤・CAR-T細胞治療でのサイトカインストーム発現も多いことがわかっており、その対応が必要になることから、癌治療領域での注目度が上がっています。

そのため、この研究によって得られる知見や成果がキャンバスの抗癌剤研究開発にフィードバックされることも期待されます。

今後の展望

今回の共同事業では、静岡県立大学で新規化合物のデザインと合成ならびにin vitro評価を、キャンバスではサイトカインストームマウスモデル等での薬効評価と非臨床POC獲得ならびに特許の出願・管理を、それぞれ担当します。

まず初年度(令和2年度。2021年3月まで)に、これまでに得られているIDO/TDO二重阻害剤に関する知見を活かし、ツール化合物として適した化合物を選定しラボスケールでの原末製造とマウスモデルでの評価を実施します。

今回の助成額概算600万円は、2022年末まで予定している研究開発実施予定期間のうち令和2年度(2021年3月まで)の研究開発に対応するものであり、次年度以降の助成については未定です。
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