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T-CiRAのiPS細胞由来の細胞療法

京都大学iPS細胞研究所(CiRA)と武田薬品工業株式会社が、あらたなプログラム開始にともない、新規iPS細胞由来キメラ抗原受容体(CAR)の遺伝子改変T(CAR-T)による細胞療法(iCART)に関する研究成果が、両社の共同研究プログラムであるT-CiRAから武田薬品において製品化をすすめると発表しました。


T-CiRAの契約条件に従い、武田薬品はiCART製品の全世界における開発権と商業化権を有し、CiRAは開発の進捗や承認に応じて武田薬品から資金を得ます。武田薬品とCiRAは引き続き連携し、2021年の first-in-human(FIH)試験実現に向け、iCARTプログラムを開始する方針です。


CAR-T療法は、免疫細胞の一種であるT細胞の遺伝子を、特定のがん細胞を認識して破壊することができるように改変する、免疫療法の一種です。患者の血液からT細胞を取り出し、遺伝子を改変するという、現行の自家CAR-T療法は長い時間と多額の費用がかかります。

そこで、CiRAの金子 新(かねこ しん)准教授と武田薬品の研究者らのチームは、CiRAにおいて作製した「再生医療医療用iPS細胞ストック」をもとにクローン化したiPS細胞を用い、すぐに提供可能なCAR-T療法(iCART)をT-CiRA共同研究を通じて開発しました。この手法は非臨床試験において、CD19を標的とするiCARTが強い抗腫瘍効果を発揮することが明らかになっています。

関係者のコメント-山中教授、アンディ・プランプ氏

CiRAの所長で、2012年にiPS細胞の開発者としてノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥教授は、

「iCARTプログラムは、私たちのT-CiRA共同研究の価値を明らかに示すものです。本プログラムではiPS細胞技術を応用して創薬における新たなアプローチを開発し、有望なプログラムを武田薬品に引き継ぐための橋渡しを行うことで、臨床開発と実臨床での使用に向けた開発を加速することができます」

と述べています。



武田薬品のリサーチ&デベロップメント プレジデントであるアンディ・プランプ氏は、

「T-CiRAから細胞治療としては初めて、臨床開発に向けて一つのプログラムが武田薬品に継承されることとなり、山中教授、金子准教授とCiRAの皆さんと共に喜びを分かち合っています。iCARTプログラムは、私たちのTranslational Cell Therapy Engineを活用し、革新的な次世代CAR-T療法を世に送り出すという当社の熱意を示すものです。武田薬品は現在、12のCAR-Tプログラムを開発中で、iCARTの試験は、2021年までの実施を計画している5件のfirst-in-human試験の1つにあたります」

と述べています。
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