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中外製薬株式会社が、自社で創製したpH依存的結合性ヒト化抗IL-6レセプターモノクローナル抗体エンスプリング®[一般名:サトラリズマブ(遺伝子組換え)]について、希少な中枢神経系疾患である視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD:Neuromyelitis Optica Spectrum Disorder)に対する再発重症度の低下に関するあらたなデータを発表することを明らかにしました。

NMOSDの再発リスク低下に関するエンスプリングの持続的な効果やベネフィットリスクプロファイルに関する長期の有効性と安全性データと合わせて、第8回米国多発性硬化症学会(ACTRIMS)- 欧州多発性硬化症学会(ECTRIMS)合同会議、MS Virtual 2020で発表されます。

事後解析の結果、SAkura試験群(SAkuraSky試験、SAkuraStar試験)の二重盲検期間において、エンスプリング投与群はプラセボと比較して重度の再発リスクを79%減少させました[27例中5例(19%)対34例中12例(35%)]。神経の障がいや損傷を不可逆的に蓄積させる重度の再発を抑制することは、NMOSD治療において目指すべき目標とされます。

また、エンスプリングで治療された患者は、プラセボと比較して、再発に対するレスキュー治療を必要としませんでした(オッズ比:0.46、95%信頼区間:0.25~0.86)。再発は、Expanded Disability Status Scaleで2ポイント以上の変化があった場合に重度と分類しました。

別のプール解析の結果、二重盲検期間と非盲検継続投与期間を統合して評価した場合、エンスプリング投与群は試験開始当初のプラセボ群と比較して再発リスクを51%減少させました(ハザード比:0.49、95%信頼区間:0.31~0.79)。この効果は、より重度な病状をたどる傾向にある抗アクアポリン4抗体(AQP4-IgG)陽性の患者では、プラセボ群と比較して再発リスクが66%減少しました(ハザード比:0.34、95%信頼区間:0.19~0.62)。二重盲検期間におけるエンスプリング投与群、プラセボ投与群の投与期間の中央値(範囲)はそれぞれ96.1週(8~224週)、54.6週(7~219週)、非盲検継続投与期間まで含めたエンスプリング投与群の中央値(範囲)は、131.9週(13~276週)でした。

 二重盲検期間において感染症の発現率は、SAkuraStar試験では、エンスプリング投与群、プラセボ群でそれぞれ99.8/100患者年、162.6件/100患者年となりました。また、SAkuraSky試験では群間で感染症の発現率に差は認められませんでした。重篤な感染症の発現率は両群間(エンスプリング投与群対プラセボ群)で同程度でした(SAkuraSky試験:2.6対5.0件/100患者年、SAkuraStar試験:5.2対9.9件/100患者年)。非盲検継続投与期間まで含めた投与期間を通じ、エンスプリング投与群の感染症および重篤な感染症の発現率は、有害事象の性質および発現率の点で二重盲検期間と一致しており、時間の経過とともに増加しませんでした。

エンスプリングについて

エンスプリングは中外製薬が創製した、pH依存的結合性ヒト化抗IL-6レセプターモノクローナル抗体で、当社独自のリサイクリング抗体技術を適用した初めての薬剤です。視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD:Neuromyelitis Optica Spectrum Disorder)の主な原因であるサイトカインのIL-6のシグナルを阻害することで、NMOSDの再発の抑制が期待されます。

視神経脊髄炎(NMO:Neuromyelitis Optica)およびNMOSDの患者を対象とした2つの第III相国際共同治験において、免疫抑制剤によるベースライン治療との併用投与および単剤投与でそれぞれ主要評価項目を達成しました。これらの2試験は希少疾患であるNMOSDに対して行われた最も大規模な臨床試験の一つです。エンスプリングはこれまでに日本、アメリカ、カナダ、スイスにて承認されています。ヨーロッパでは、2019年に欧州医薬品庁(EMA)より承認申請が受理されています。
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