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山中伸弥京都大学教授がiPS細胞を発見して10年、ノーベル生理学・医学賞を受賞して4年、国が「再生医療推進法」を制定したこともあり、再生医療の分野で世界をリードしつづけてきた日本で、山中教授を含む研究チームが新たなチャレンジの達成に、また一歩近づいたようだ。

●世界初となるiPS他家移植の実施計画を提出●

他人のiPS細胞(人口多能性幹細胞)から作製した網膜の細胞を患者に移植する世界初の「他家移植」の臨床研究について、神戸市立医療センター中央市民病院などのチームが実施計画を厚生労働省に提出したことがわかったと10月27日、共同通信社が配信した。

事前に必要な審査の最終段階に至っており、順調に進めば年内にも承認を受け、来年2017年前半の手術が可能になる見通しだという

移植の対象は、視野がゆがんで視力が低下する「滲出型加齢黄斑変性」を発症し、薬が効かない重症患者。

2014年9月に患者本人の皮膚から作製したiPS細胞を用い、「自家移植」1例目の網膜再生手術を臨床研究で行った際にはシートが使われたが、今回はより手術のリスクが低い術法である網膜の細胞を含んだ懸濁液を採用。これを目に注入して移植する。

●実現すればコストも治療期間も大幅低減●

また、患者自身の細胞を使う「自家移植」の場合、一般的に治療開始から手術まで約1年、コストは5千万円かかるとされているのに対し、新方式の「他家移植」では将来的に治療費用を数百万円に抑えられ、治療期間も最短で1か月程度に縮められる可能性があると、本研究実施体制発表時に研究チームは言及している。

さらに「他家移植」で懸念される拒絶反応については、理化学研究所がカニクイザルを用いた実験を行い、MHC(major histocompatibility complex:主要組織適合遺伝子)が適合していれば、免疫拒絶が起こらないことを検証。ヒト細胞を用いた実験でも、ヒトにおけるMHCであるHLA(Human Leukocyte Antigen:白血球型抗原)の型を一致させれば免疫応答が起こらないことを証明ずみだ(9月15日付けで科学誌Stem Cell Reportsにて公開)。
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サルを用いたin vivo移植実験の概念図。MHCホモ接合体ドナー由来iPS細胞から作製したRPE細胞をMHC型が一致する
別個体に移植すると(図では青の遺伝子)、免疫拒絶は起こらないことが分かった。

引用・参照

http://this.kiji.is/164345170651825661?c=39546741839462401
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGG06H55_W6A600C1000000/ 
http://www.cdb.riken.jp/news/2016/researches/1011_11943.html 
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